3本ローラーのスマートトレーナー化(その7)

 マイコンその他をケースに入れてみた。ケースは百均のアクリル製のもの。

 すかすかである。電子磁石への接続は3.5ミリミニプラグ(×2個)。12V 入力端子も含めて秋月電子で購入。

 オペアンプを使った電圧シフト回路の部分はブレッドボードに刺したままなので入れていない。

 ケースに入れると出来上がりが近いという感じで楽しみである。

 

 ブレッドボードに刺したままの回路が下の写真の左側。ユニバーサル基板に同じものを移植しつつあるが、配線が間違っていたのか、はんだ付けが悪いのかまだ思ったように動かない。

 ユニバーサル基盤を使って何か作るのも大学での物理実習以来か。すると40年ぶりだ。もっと、うまく部品を配置できた筈だ、などと夜中に思い出すなんてこともあって中々楽しい。

 せっかくなので、エナメル線で電磁石も作ってみた。下の写真がそれ。しかしながら、抵抗を測定してみたら10Ωしかない。線長が100mなので、100Ωくらいになる計算だったのだが、途中でショートしているようだ。エポキシ接着剤で固めながら巻いたので解くわけにもいかない。2000円以上も使ってゴミを作ってしまった。後悔、後悔である。

 初期故障だったのかもしれないが、製品の糸巻の巻きはじめが内側なので、最初に抵抗を確認するわけにもいかなかった。キンクをつくらないように、エナメルに傷をつけないようにと気をつけながら巻いたのだが、100mも巻く内にどこか雑にやってしまったのかもしれない。エポキシ接着剤がエナメルを溶かした可能性もあるかもしれない。

 

(追記)念のため、磁石としての性能も試してみた。10Ωなので流れる電流は1A 以下。ACアダプターの容量は2Aなので大丈夫。やってみると購入電磁石よりもずっと素直な引力/斥力を感じる(購入電磁石はどちらも鉄芯/ケースのために邪魔な反対磁場が発生している気がする)。抵抗値から10分の1くらいの長さ(10m)のエナメル線が作っている磁場に過ぎないと思われるが有望な気がする。短時間であれば電磁石の温度もそれほど上がらないので、手作り電磁石での実験は並行して継続。

 結果によってはまた電磁石作成もやってみるかも(今度はエポキシ抜きで・・・)。

(追々記)エナメル線の線抵抗係数の表を読み間違えていた。

サイズ別技術データ | ELEKTRISOLA

の線径0.5mmのエナメル線の抵抗は0.087Ω/mなのに、なぜか一桁勘違いしていた。別のサイトで1kmあたりの抵抗値が書かれていて気が付いた。約10Ωで正しい。ショートしていなかった。ゴミではなかった。エポキシ接着剤を疑って申し訳ない。多分、手巻きのこの電磁石をメインにすることになると思う。

 ホール素子という磁石を検出できる部品が数十円程度で売っているようだ。これが使えるなら、装置を大幅に簡略化できる。Arduinoを使った工作でも使われているようだ。

ホール素子 - Wikipedia

 あとは年明け作業。

3本ローラーのスマートトレーナー化(その6)

 新しい電磁石(以下、「大電磁石」という。もとからあったのは「小電磁石」)が届いた。公称250N。大きさは直径が3㎝と1.5倍になった。鉄心も少し大きい。抵抗をテスターで測定したところ約34Ω(小電磁石は41Ω)。抵抗が小さい分、電流量が増加するので、巻数と相乗してより強力な磁力を発生させることができる。

 早速、モーターとして駆動できるか試してみた。

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 新しい電磁石が届いたのでローラー駆動に再トライ。微妙なバランスで10回転くらいは連続動作するのだが途中で止まる。動画は矩形波
 やはり、鉄心とケースとネオジム磁石の引力が邪魔をしているようだ。できないことは気になるものなので、エナメル線をアマゾンで注文。0.5㎜径×100m。泥沼という気もするがこれも勉強。自分が面白ければ良いのである。コイル巻きなんか小学生以来だ。

 さて、三本ローラーをモーター化するのは本旨ではなかった。パソコンからコントロールできる負荷装置を作成するのが本来の目的。まずは小電磁石で磁石の接近/離隔を検知する仕組みを作成する。

 前回紹介したオペアンプでバイアス電圧を中心に信号を出力する方法 | アナデジ太郎の回路設計 (ana-dig.com)の回路をそのままブレッドボードに実装(R3の抵抗を100kΩ、R4の抵抗を50kΩ(100kΩを並列接続)にそれぞれ変更。2.5VだとADコンバータの有効電圧ぎりぎりのようなので。)。オペアンプ秋葉原秋月電子でLM358N(2回路入りなので下図の回路が1個のオペアンプで実現できる。オペアンプなんか使うのは大学のときの物理実験の実習以来だ。)を購入した。1個30円なのだが、5個入りしかなかったので150円支出。抵抗も100本入りしかなかったので、それを購入(100本入りで100円くらいのものだが・・・)。

 

電圧シフト回路

  


思った通りに動作してくれて、磁場変化の検出が可能になった。

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 電磁石が検知する誘導電圧はプラス側にもマイナス側にもするが、電圧シフトにより、2.5Vを中心として、常にプラス側に発生するようにした。これにより、ESP32のADコンバータで電磁石が接近する場合も離隔する場合も検知できる。

 N(S)極が接近(離隔)するとき、赤のLEDに電圧を加え、S(N)極が接近(離隔)するとき、青のLEDに電圧を加えるようにプログラムしてある。

 LEDへの出力をそのままモータードライバに加えてやり、モータードライバからの出力を大電磁石に加えると負荷装置が出来上がる。

 やってみたところ、思ったとおり動作した。

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 手で動かしただけだが、三本ローラーに付いていた永久磁石+電磁誘導による制動よりも大きな感触。ただし、電磁誘導方式は速度が上がるほど負荷が大きくなるのに対して、今回試みている方法だと速度の如何にかかわらずトルクは一定となる。登り坂の負荷と同じ性質だと思う。

 大電磁石に付加する電圧の極性を逆転したらモーターが実現してしまった。

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 正弦波や矩形波ではうまくいかなかった連続回転があっさり実現できた。ただし、このやり方は負荷が変わると回転数が変動する。すなわち回転数をコントロールできない。
 ただし、速度が変わってもアシスト力は変わらないので、下り坂の乗り味を実現できるかも。  

 そこまで考えて、回転数を制御する必要などないことに気が付いた。電圧の極性はプログラムできる。アシスト量も変化させられる。負荷量・アシスト量をパソコンからコントロールできれば、それで完成形みたいなもの。その方向で開発することにする(当初は、パソコンから50km/hなら50km/hと速度を指定するような制御を考えていたところ。今となっては、何故そんなことを考えたのか!という感じ。)。

 エナメル線など買う必要はなかった。が、届いてしまったので仕方がない。考えなしに余計なものを買うのは習性みたいなもの。

 あとはブレッドボードに実装した電圧シフト回路をユニバーサル基板上に再実装し、すべてケースの中に収め、プログラムを完成させれば出来上がり。

 年末年始休暇の暇つぶしができた。走ってみるのはそれから。

3本ローラーのスマートトレーナー化(その5)

 新しい電磁石(直径40mm、公称吸着力250N)が届かない。12月4日に注文して今日(9日)に中国から日本(川崎)に届いたようだ。ネオジム磁石(60mm×10mm×5mm)の方は注文翌日に届いたので、今日はこれを使って実験。磁石の数が4つだったので、すべて使うことにした。表面磁極がNSNSと交代するように配置。電磁石に電源を投じてネオジム磁石に近づけるとかなりの手ごたえを感じる。果たして3本ローラーはモーターとして動くか・・・

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 御覧のように惜しいところで動かない。電磁石のケース・鉄心とネオジム磁石間の磁力が悪影響を及ぼしているように思われる。2.5倍強力な新しい電磁石でどうなるか期待したい。

 次に電磁石を使って磁石の位置(磁場変化)を検知できるか試してみた。磁石と電磁石の距離が変化(近づく/遠のく)する際に電磁石に起電力が発生する。それをESP32のADコンバータで計測して、検知した際にLEDを点灯する仕組みである。LED点灯の代わりにモータードライバ経由で負荷用電磁石(新しいやつ)に磁力を発生させれば、ネオジム磁石との間にタイミングよく反発吸引力を発生させて3本ローラーの動きに制動をかけようという構想である。

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 御覧のように磁場変化が検出できることはわかったが、ADコンバータがプラス電圧しか計測できないことは当初考えていなかった事項(電磁石の誘導電圧はプラスマイナス同等に発生する)。ADコンバータをもう1チャンネル使って電磁石の出力電圧を反転させれば良いかとも考えたが、その場合アースを経由して電磁石がショートしてしまうことに気が付いて断念。オペアンプを使って電圧シフトさせ、電磁石からの出力を正電圧のみにしてしまうのが多分正しいやり方。

 オペアンプでバイアス電圧を中心に信号を出力する方法 | アナデジ太郎の回路設計 (ana-dig.com)

という記事があって、原理も回路も説明してくれている。できそうな気もするが、オペアンプも種類が山のようにあって、どれを使えば良いのかわからない。少し研究が必要。東京に出る機会があったら、秋月に行って適当なものを一つ買ってみよう。汎用オペアンプというので1個40円であるようだ。

 大きな電磁石での実験は来週末予定。磁石のケース/鉄心とネオジム磁石間の吸引磁力に、電磁石とネオジム間の反発磁力が打ち勝ってくれると良いのだが(エナメル線を買って自分で鉄芯なし電磁石まで作るというのは嫌だなぁ・・・)。

 

3本ローラーのスマートトレーナー化(その4)

 ローラーに磁石を取り付ける。両面テープと透明の荷造りテープを使用。重量バランスが崩れないように対称に2個。それぞれN極、S極が表面になるようにした。全体で大きな磁石のようなもの。電磁石に電流を流すとちゃんと反発吸引する。

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 交流磁界を発生させれば回るはず。マイコン(ESP32)とモータードライバ(L298N)を使って正弦波電圧を発生させる。電圧の周期をBluetoothシリアル通信によりスマホ等からコントロールできるプログラムした。初期周期を1秒とし、Bluetoothから+を入力すると周期が2倍、-を入力すると周期が半分になるように設定。

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 テスターの電圧が変動しながらプラスになったりマイナスになったりするのが分かると思う。とりあえず思ったように動作している。

 次にローラー台で実験。交流磁場をかけた際の動画がこれ。

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 ローラーは振動するのだが、何度やっても回転するには至らない。正弦波だと反発力・吸引力が減衰して最も小さいところで電磁石上をネオジム磁石が通過する筈なので駆動力は小さくなる。そこで、ネオジム磁石が電磁石上を通過するギリギリまで磁力を保つ矩形波を使用してみた。

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 結果は変わらず、もう少しのところで回転までには至らず。しかしながらトルクは正弦波より強くなったように思う。

 トルク不足が原因と思われるので、①ネオジムをより強力なものにする(2つに並べれば倍の駆動力)、②電磁石を取り強力なものにする、の2つが対策。ネオジム磁石は百均で入手するとして、電磁石の方は約1400円を奮発して公称250Nのものをアマゾンでポチ。

 電磁石が2つあると、一つをネオジム検知用にしてもう一つを駆動力に使用し、負荷装置を作れる可能性がある。駆動用電磁石をネオジムが近づくときに反発、遠ざかるときに吸引するように極性を切り替えればいいから。

 実験は来週週末予定。

3本ローラーのスマートトレーナー化(その3)

 パワーメーターを付けて電磁石の制動効果を計測しようとしたが、ほとんど優位な差は出なかった。時速30㎞と40㎞でそれぞれ電磁石オン/オフを試したが、せいぜい10W あるかないか。これでは思った効果が出ない。

 うまくいった場合のことを考えて、マイコン(EPS32)プログラムを作成していた。bluetooth(クラシック)でスマホ(またはパソコン)とシリアル通信し、スマホからのからの信号(0から9までの数字)に合わせて、マイコンのピン出力電圧を0Vから3.3Vまで変更するというもの。以下の動画はその様子を撮影したもの。

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 この出力をモータードライバに入力信号として与えてやり、別にモータードライバに入力した12V電源の電圧を制御し、それを電磁石につなげればいい、というアイデア

 しかしながら肝心の電磁石が弱すぎ。

 次は誘導電流ではなく、永久磁石に作用させることを考えてみる。

 

 

3本ローラーのスマートトレーナー化(その2)

 まずは電磁石の吸引力を測る。

 公称100Nということは約10kgのものを持ち上げられるということ(製品には中国語で良くわからないが15kgという数字が書かれている)。12ボルトの電圧を付加して試してみたのが次の動画。

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 1.1kgのハンマーを余裕で持ち上げることが出来ました(12V時)が、電圧を6Vにするとギリアウト。20N(2kg)くらいの力だと思う。

 あとで国産(?)メーカーのHP

https://www.teslanet.co.jp/small-electromagnets.html
を見ると、同じような外形の製品のスペックは20Nなので(12V、外径20ミリ高さ15ミリ)、こんなものかもしれない。国産製品は6550円で非常に高価。(

 想定より相当弱い。

 グロータックの3本ローラーの負荷マグネット(ネオジム磁石)は、外径20ミリ、高さ10ミリが2個ついている。モノタローのHP、

https://www.monotaro.com/p/4891/5282/
によれば、同じ大きさ(外径20ミリ、高さ10ミリ)のネオジム磁石の吸着力が139N。だから負荷装置の吸引力は合計約280N。購入した電磁石よりも一桁以上強力だ。

 とりあえず、3本ローラーに取り付けて制動が効くかどうか試してみた。

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 微妙。

 制動は効いていると思うけれど付属の負荷装置に比べて圧倒的に弱い。磁力が足りてない。実際に走ってみたけれど、負荷の有無による違いが感じられなかった。次はパワーメーターを使って負荷の有無によるパワーを計測する予定だが、構想に無理があったかな。

 

 

3本ローラーのスマートトレーナー化(その1)

 

編集

 久しぶりの更新。何も思いつかなかったのだから仕方がない。

 更新するということは、思いついたこと(標題のとおり)があるから。スマートトレーナーというのは、パソコンやスマホと接続することで、負荷を自動的に変更することができるトレーナーのこと。

 以前に購入したグロータックの3本ローラー(GT-Roller T1)にはマグネット(永久磁石)を使った負荷装置が付属している。GT-Roller T1 │ GROWTAC

 この永久磁石を電磁石に換えて、電磁石の強さをパソコン等から変更できるようにすればいい。最近はラズパイやarduinoのようなマイコンが容易に手に入る。bluetoothWiFiでパソコンから制御信号を送って電磁石の強度を変更するのはそんなに難しくない気がする(まだ素人だけど)。マイコンはちょっと手を動かしてみたくなっていたオモチャだし。

 グロータックの負荷装置の効き方を動画にとってみた。

youtu.be

 早速に電磁石とEPS32(BluetoothWiFiが付属したarduino互換機、技適付き)スターターキットとモータードライバーを購入。

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(3280円)

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(購入したのは12V、100Nのもの。1076円)

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(690円)

※価格は購入時

参考とした動画:

(7) 超強力電磁石をArduinoで可変式にしてみた。#Arduino #電磁石 #可変 #強力磁石 #改造 #DIY #超強力 - YouTube