3本ローラーのスマートトレーナー化(その6)

 新しい電磁石(以下、「大電磁石」という。もとからあったのは「小電磁石」)が届いた。公称250N。大きさは直径が3㎝と1.5倍になった。鉄心も少し大きい。抵抗をテスターで測定したところ約34Ω(小電磁石は41Ω)。抵抗が小さい分、電流量が増加するので、巻数と相乗してより強力な磁力を発生させることができる。

 早速、モーターとして駆動できるか試してみた。

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 新しい電磁石が届いたのでローラー駆動に再トライ。微妙なバランスで10回転くらいは連続動作するのだが途中で止まる。動画は矩形波
 やはり、鉄心とケースとネオジム磁石の引力が邪魔をしているようだ。できないことは気になるものなので、エナメル線をアマゾンで注文。0.5㎜径×100m。泥沼という気もするがこれも勉強。自分が面白ければ良いのである。コイル巻きなんか小学生以来だ。

 さて、三本ローラーをモーター化するのは本旨ではなかった。パソコンからコントロールできる負荷装置を作成するのが本来の目的。まずは小電磁石で磁石の接近/離隔を検知する仕組みを作成する。

 前回紹介したオペアンプでバイアス電圧を中心に信号を出力する方法 | アナデジ太郎の回路設計 (ana-dig.com)の回路をそのままブレッドボードに実装(R3の抵抗を100kΩ、R4の抵抗を50kΩ(100kΩを並列接続)にそれぞれ変更。2.5VだとADコンバータの有効電圧ぎりぎりのようなので。)。オペアンプ秋葉原秋月電子でLM358N(2回路入りなので下図の回路が1個のオペアンプで実現できる。オペアンプなんか使うのは大学のときの物理実験の実習以来だ。)を購入した。1個30円なのだが、5個入りしかなかったので150円支出。抵抗も100本入りしかなかったので、それを購入(100本入りで100円くらいのものだが・・・)。

 

電圧シフト回路

  


思った通りに動作してくれて、磁場変化の検出が可能になった。

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 電磁石が検知する誘導電圧はプラス側にもマイナス側にもするが、電圧シフトにより、2.5Vを中心として、常にプラス側に発生するようにした。これにより、ESP32のADコンバータで電磁石が接近する場合も離隔する場合も検知できる。

 N(S)極が接近(離隔)するとき、赤のLEDに電圧を加え、S(N)極が接近(離隔)するとき、青のLEDに電圧を加えるようにプログラムしてある。

 LEDへの出力をそのままモータードライバに加えてやり、モータードライバからの出力を大電磁石に加えると負荷装置が出来上がる。

 やってみたところ、思ったとおり動作した。

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 手で動かしただけだが、三本ローラーに付いていた永久磁石+電磁誘導による制動よりも大きな感触。ただし、電磁誘導方式は速度が上がるほど負荷が大きくなるのに対して、今回試みている方法だと速度の如何にかかわらずトルクは一定となる。登り坂の負荷と同じ性質だと思う。

 大電磁石に付加する電圧の極性を逆転したらモーターが実現してしまった。

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 正弦波や矩形波ではうまくいかなかった連続回転があっさり実現できた。ただし、このやり方は負荷が変わると回転数が変動する。すなわち回転数をコントロールできない。
 ただし、速度が変わってもアシスト力は変わらないので、下り坂の乗り味を実現できるかも。  

 そこまで考えて、回転数を制御する必要などないことに気が付いた。電圧の極性はプログラムできる。アシスト量も変化させられる。負荷量・アシスト量をパソコンからコントロールできれば、それで完成形みたいなもの。その方向で開発することにする(当初は、パソコンから50km/hなら50km/hと速度を指定するような制御を考えていたところ。今となっては、何故そんなことを考えたのか!という感じ。)。

 エナメル線など買う必要はなかった。が、届いてしまったので仕方がない。考えなしに余計なものを買うのは習性みたいなもの。

 あとはブレッドボードに実装した電圧シフト回路をユニバーサル基板上に再実装し、すべてケースの中に収め、プログラムを完成させれば出来上がり。

 年末年始休暇の暇つぶしができた。走ってみるのはそれから。